


発達障害の症状が運動で改善! 運動療育の効果とは

発達障害の子どもさんと一緒に運動するときに…

目次
発達障がいがあるお子さんの困りごとを少なくするには、
周りの環境を整えることが大切です。
早めに支援をすることで、お子さんが困りごとで悩むことを防ぎやすくなります。
発達障がいを持つ子が自立して生活できるように支援をするのが療育(発達支援)です。
今回は発達障がいがあるお子さんに対する関わり方と、
療育の中でも特に遊びながらできる運動療育について説明をしていきます。
ヒトは、生まれつき脳の発達機能に偏りがあることがあります。
運動が得意な人もいれば、計算が得意な人もいるのは、
脳の機能の発達に少なからず偏りがあるからです。
脳の機能の発達に偏りがあっても、
日常生活に支障がなければ特に問題ありません。
発達障がいとは、主に脳の機能が偏った発達をすることで
日常生活に支障が生じている状態をさします。
脳の機能の発達に偏りが見られると
「自閉症スペクトラム障害」
「注意欠陥多動性障害(ADHD)」
「学習障害(LD)」と診断されることがあります。
実際には、脳の機能の発達の偏りは一人ひとり異なります。
そのため診断名が付いても、
具体的にお子さんの特性や困りごとに個人差がでます。
中には診断名が複数あるお子さんも少なくありません。
・人とのコミュニケーションが苦手
・特定の感覚が鋭い一方で極端に鈍いところがある
・何かに強いこだわりがある
発達障がいがわかるタイミングも、
お子さんの苦手な部分によって変わるのが一般的です。
例えば
「集中することが苦手」
「衝動的に動いてしまう」などの行動は、
集団生活が始まってからわかることが多いようです。
全体的な知的の遅れはないのに
「聞く」
「書く」
「計算する」などの
特定のことだけが苦手なお子さんの場合は、
小学校に進学してから判明することもあります。
発達障がいのあるお子さんは、
周りの子と比べて苦手とする部分が目立ちます。
ここでは、実際に多く見られる困りごとを
いくつか紹介していきます。
発語に遅れがあるお子さんは、
周囲の大人や周りの子ども達と、
言葉でコミュニケーションをとることが上手くできず
自分の希望を伝えることも難しくなります。
いらだちや不安といった感情を言葉で表わすこともできず、
癇癪(かんしゃく)や
自傷行為といった行動に出ることもあります。
言葉の理解が難しいお子さんは、
相手が言っていることを正しく理解できないことも多いです。
相手が話していた内容と違う返答をすることや、
相手からの指示を理解できずに
間違えた行動をとってしまうことがあります。
ヒトと関わることを苦手とするお子さんも多く、
ひとりで過ごしていることが多いです。
いざ集団で行動しなければいけないときに、
周りに合わせて行動することが難しく
注意されることもあります。
例えば
ヒトと一緒に過ごすこと自体を嫌う場合は、
親切で周りの子どもが
遊びに誘ってくれることをストレスに感じます。
苛立ちから乱暴な行動をとってしまうこともあります。
特定のモノにこだわりがある場合や変化が苦手な場合は、
少しでも環境が変わると不安になってしまいます。
周囲の人から注意をされただけではこだわりをなおすことは難しく、
周りからわがままだと思われることも少なくありません。
例えばミニカーや積み木を規則正しく並べるのも、
その子なりのこだわりかもしれません。
工事中でいつも通っている道が使えなくなった場合や、
スケジュールが急に変更になった場合はパニックを起こしやすくなります。
特定の感覚が鋭いので、
その感覚に関する刺激を嫌います。
例えば光に対する感覚が強いお子さんは、
まぶしい所を嫌って避けようとします。
肌の感覚が過敏なお子さんは、
特定の洋服しか着ない傾向があります。
舌の感覚や味覚が鋭い子は、
食べ物の好き嫌いが多く栄養も偏りやすくなります。
特定の感覚が鈍いと、
刺激を受けていることに気づかないことがあります。
例えば肌の感覚や痛みの感覚が弱いお子さんは、
ケガをしていても気がつかないことが多いです。
肌の感覚が弱いお子さんは、
繰り返しジャンプをして足への刺激を求めます。
特定の感覚が鈍いお子さんの場合は、
強い刺激を求めて危ないことをすることもあるので
注意が必要です。
何かをし続けることが苦手で、
すぐに他のことに興味をとられてしまいます。
特に授業中などは、他の人に注意されやすいです。
学校に上がってからだと集中できないために、
勉強が身につかなくなることが多いです。
なかなか集中できない結果、
成績が上がらないといった課題を
抱えてしまうお子さんも多くいます。
細かいところまで気づかずに忘れ物をすることも多く、
不注意から間違いや見落としなどの失敗がよく見られます。
片付けや整理整頓が苦手なお子さんも多く、
どこに何をしまったのかを忘れてしまうことも頻繁にあります。
忘れ物や不注意によるミスが多いと信頼されなくなっていきます。
叱られることが増えてくると、
自信をなくしてしまうお子さんも少なくありません。
自分が興味をもったことに対してすぐに動いてしまいます。
おとなしく座っていることや並ぶことが苦手です。
思ったことをそのまま口に出してしまうこともあるので、
対人トラブルにつながりやすくなります。
中には感情のままに手を出してしまうケースもあります。
文章を読むことが苦手なお子さんの場合は、
周りの子と文章の見え方やとらえ方が異なることが多いです。
文章を読むときに、
たどたどしくなることや、
読み間違えることが多く、
文章を読むとすぐに疲れてしまいます。
文章を書き写すことが苦手なお子さんや、
句読点を打つ場所の理解が難しいお子さんなど特徴は様々です。
続けて文章を書くことが苦手なお子さんもいます。
数の理解や覚えることが苦手で、
計算ミスもしやすいのが特徴です。
計算そのものが苦手なので、
学年が上がるにつれて苦手なことが増えてしまいます。
ここまでに挙げた困りごとは、
お子さん一人ひとり異なるものです。
発達障がいのお子さんに共通する特徴は、
困りごとが原因で
叱られることや失敗することが多くなる傾向があります。
叱られる経験や失敗する経験が重なると、
多くの子どもは自信を失ってしまいます。
やる気もなくなると、
さらに状況が悪化してしまう危険性が高くなります。
発達障がいのあるお子さんにとって
苦手とする部分が周りに理解されないと
「問題児」
「困った子ども」などの
レッテルを貼られてしまいます。
失敗をして叱られることが多くなると、
お子さんが自信をなくしてしまう傾向があります。
子どもが自信を失わないようにするには、
できるだけ本人が苦手とする状況に
ならないようにすることが大切です。
同じような状況にならないように、
周りが働きかける必要があります。
発達障がいがあるお子さんに
苦手なことがあることは、
本人が悪いわけではありません。
周りの環境によって
本人の苦手な部分が目立っているだけなので、
叱りすぎないようにして下さい。
発達障がいのあるお子さんに対して、
なぜできないのかと責めるのもオススメしません。
子ども自身も「なぜ思ったようにできないのか」不安に感じているかもしれないからです。
家族の育て方や接し方が、
発達障がいの原因というわけでもありません。
お子さんの困りごとを少なくするには、
子どもの周りの環境を整えることが大切になります。
家庭や学校など周りのはたらきかけによって
困りごとが目立ちにくくなります。
「~はダメ」といった否定語は、
相手に指示が伝わりにくい方法です。
発達に障害のあるお子さんは、
日頃から叱られることも多く
自信をさらに失う原因になるかもしれません。
何かしてほしいときは、
肯定語を使用するようにします。
例えば「走ってはダメ」と言うのではなく
「歩こう」と別の言葉を使うのもひとつの方法です。
発達障がいのあるお子さんは、
想像する力が弱く言葉を把握することが困難です。
長い文章や説明だと理解できないこともあります。
指示を出すときや何か相手に伝えたいときは、
短文でわかりやすく簡潔に伝えるように心がけることが大切です。
例えばおもちゃを片付けてほしいときは、
「ちゃんと片付けて」とあいまいに伝えるのではなく
「積み木をこの箱に入れて」と具体的に指示を伝えます。
「ランドセルを片付けて宿題をしてから遊んでいいよ」とまとめて言うのではなく、
ひとつの行為が終わったらその次の言葉を伝えます。
例えば「ランドセルを片付けてね」と伝えて、
ランドセルを片付けたら次に「宿題をする」ように伝えてください。
発達障がいがあるお子さんと接するときに大切なのが、
スモールステップの考え方です。
ひとつの大きなゴールを目指すために
小さなゴールをいくつか作っていく考え方を指します。
大きなゴールをいきなり目指そうとすると、
途中で失敗してやる気がなくなってしまうことも少なくありません。
小さなゴールの達成を積み重ねることで、
子どももやる気を失いにくくなります。
例えば大きなゴールは、
テキストを1冊終わらせることだとします。
子どもによってどの程度集中力が続くかは異なりますし、
何度も注意をされると子どもに限らず途中で嫌になってしまいます。
そこでスモールステップとして、
いくつかのゴールを立てていきます。
例えば
「今日は1ページだけ終わらせる」
「10分間だけ取り組んでみる」といったことです。
そして小さなゴールを達成したらその都度ほめて、
休憩をはさみます。
子どもの様子を見ながら
少しずつゴールに向かうまでのレベルを上げることで、
最終的には大きなゴールに到達し
子どもの達成感につなげることができるのです。
変化が苦手なお子さんに対しては、
できる限り先に変化が起きることを伝えることが大切です。
例えば、今日の「予定を先に伝える習慣」を持つのもひとつの方法になります。
集中することが苦手なお子さんに対しては、
周りの環境を整えることが大切です。
あらかじめ本人が興味をもちそうなものは
視線に入らないようにします。
文章を読むことが苦手なお子さんに対してオススメしたいのが、
リーディングトラッカーです。
リーディングトラッカーは読書補助具のひとつで、
読みたい行だけを集中して読むことができます。
文章を読むことが苦手なお子さんの中には、
白い背景だと読みにくいという子どもも多いです。
リーディングトラッカーは、青色や黄色など様々な色があります。
席を立ってしまうお子さんや集中力が続かないお子さんの中には、
特定の感覚を過敏に感じてしまい
耐えきれずに行動を起こすことも少なくありません。
無理に感覚になれさせようとすると、
嫌な記憶と結びついてしまい
さらにその刺激を嫌うようになります。
特定の刺激を敏感に感じてしまうお子さんに対しては、
刺激を和らげることが大切です。
例えば、音に敏感なお子さんに対しては、
イヤーマフをつけるようにします。
視覚が敏感なお子さんの中には、
白い色や蛍光灯をまぶしく感じて
席から立ち上がってしまうこともあります。
このような場合、サングラスなどを利用して
まぶしさを軽減することが大切です。
感覚が鈍いお子さんの中には、
常に特定の感覚を求めることがあります。
例えば、特定の触り心地を好むお子さんは、
常に服を触ることや何でも触りたがる傾向が強いです。
刺激を求めて落ち着きのない行動をしているときは、
今自分が得ている刺激に満足していないからかもしれません。
タオルや人形などを求めている感覚を
常に満たせるようなモノを用意すると、
落ち着くようになります。
発達障がいのあるお子さんは、
言葉による指示を苦手とするお子さんも多いです。
このケースのお子さんは、
言葉を理解できないことが頻繁にあります。
発達障がいがあるお子さんに指示を出すときに有効なのが、
絵をはじめカードや写真です。
例えばスケジュールを伝えるときも、
絵やカードを利用すると
視覚的に理解できるようになります。
数字が苦手なお子さんや小さな子には、
スケジュールを伝えるときにアナログの時計を使うのもオススメです。
「針がこの位置に来たらおでかけ」などと伝えるとわかりやすくなります。
何かしてほしいときは、
周りの人がその行動をしてみるのも良いと思います。
何を自分がしたら良いのか実際に目でみることで、
その子にとってより理解しやすくなります。
視覚的な指示は、
片付けることが苦手なお子さんにも有効です。
例えばカバンを置く場所などに
カバンの写真を貼っておくなど、
片付ける場所に置くべきモノの写真を貼ると
片付けのときに場所がわかりやすくなります。
発達障がいのあるお子さんは、
他のお子さんに比べて苦手にすることが多いのが特徴のひとつです。
「できて当たり前」のことも、
そのお子さんにとっては難しいことかもしれません。
発達障がいのあるお子さんと関わるときに、
大切にしてほしいことは褒めることです。
今まではできなかったことができるようになったときは、
積極的に褒めるようにしてください。
褒めるときも
「マル」と指でマルを作りながら褒めることや、
頭をなでるなどの感覚的にわかりやすい方法で褒めることをオススメします。
子どもは褒められると嬉しくなりますし、
自分自身に対する自信が大きくなります。
発達障がいのあるお子さんに対する支援のことを療育(発達支援)といいます。
例えばSST(ソーシャルスキルトレーニング)は、
日常生活で起きるかもしれないことを想定しながら学ぶ療育の事です。
運動療育とは、
運動を通じてココロ・身体・脳の発達をうながすことを指します。
運動養育をおこなうと
「発達障がい」に伴う困りごとを少なくする期待ができます。
ここでは、
運動療育の特徴と魅力を説明していきます。
楽しみながら取り組める運動療育に注目してください。
運動は全身を使った粗大運動と、
手先を使った微細運動の2種類があります。
粗大運動とは、
立つ・歩く・座るなどの日常生活で必要な動作のことです。
微細運動とは、
手や指を使った細かい動作のことです。
字や絵を描くことや箸を持つことなどがあげられます。
ボタンをかけるときやファスナーを開け閉めするときの動きも微細運動です。
一般的に微細運動は、
粗大運動に比べてレベルが高いと言われています。
一般的に運動というと、
粗大運動のことを指すのが一般的です。
運動はサッカーや野球などの競技とは限りません。
運動とは身体を動かすことすべてを指しますので、
遊びや走ることも運動に含まれます。
全身を使った運動には、次にあげる3つの効果が期待されます。
発達に課題のあるお子さんの中には、
すぐに席を立ってしまうお子さんが多くいます。
同じ姿勢を保つことが難しく
姿勢を崩してしまうお子さんも少なくありません。
すぐに席を立ってしまうのは、
集中力が続かないからかもしれません。
他に興味があるものが出てきて、
抑えきれずに席を立ってしまうこともあります。
席を立ってしまうお子さんや姿勢が崩れてしまうお子さんの中には、
同じ姿勢を保つことが難しい子もいるかもしれません。
姿勢を保つのに必要な筋力が少ないと
すぐに疲れて集中力も切れてしまいます。
運動を通じて姿勢を保つ筋力が身につくと
同じ姿勢を保ちやすくなります。
疲れずに同じ姿勢を保つことで、
集中して物事にも取り組みやすいです。
また、運動の中には落ち着いて取り組む必要のあるものや、
集中力を必要とするものもあります。
キャッチボールのような集中することが必要な運動に取り組むことで、
集中力も身につきやすくなります。
集中して取り組めるようになると、
他のことに興味がいくことも少なくなります。
ひとつのことに集中できるようになれば、
落ち着いた行動にもつながることが期待できます。
発達に課題を抱えているお子さんは、
自分に自信がなくやる気もなかなか出ないお子さんが多いです。
自分の思うように行動できずに
叱られる場面が多くなってしまいます。
自分に自信がないと
「何をやってもできない」という気持ちが強くなります。
何かをするのがイヤになるので、
自然にやる気も失ってしまいます。
子どもは自分の力で何かができると
「できた」という達成感を覚えます。
「できた」という達成感が増えれば増えるほど、
自信につながっていきます。
できないことや自信のないことをやるよりも、
できることや自信のあることをやるほうがやる気も出やすいです。
自分に自信を持てるようになることで、やる気も芽生えていきます。
運動は、自分の身体を使います。
実際に自分の身体で感じながらおこなうので、
やる気や自信につながる効果が期待できます。
例えば、走るときもより速く走るためには姿勢をどうしたら良いのか、
どのくらいの力を出せば良いのかを考える必要があります。
キャッチボールのときも投げ方に様々な方法があるので、
相手に届きやすく無理なくできる方法を考える必要があります。
鬼ごっこなどの複数人でおこなう遊びは、戦略も必要です。
自分でどうしたら良いのかを瞬時に考えて実行にうつす必要があります。
一見すると、無意識に身体を動かしているように感じるかもしれません。
しかし、ヒトが身体を動かすときは、
脳から身体の各パーツに指令を送るようにしています。
運動を通じてヒトは、
身体の動かし方を学んでいきます。
より上手にできるようになるために自分自身で考えて、
実際に身体を動かしてみます。
自分で考えて実行する力が必要な場面は、
運動だけではありません。
計画を立てるときや勉強するときなど日常生活にも役立ちます。
身体を動かすためには、
筋肉の曲げ伸ばしや力加減のコントロールが必要になります。
自分が今バランスを保てているか、
走っているときにどのくらいのスピードが出ているかなど
自分自身の状態を感じる力も大切です。
また、運動によって他の人とのコミュニケーションが必要になります。
運動を通じて人と話し一緒に動くことで、
コミュニケーションに必要な部分を鍛えることも可能です。
1 相手から投げられたボールを目で見る
2 ボールの軌道を予測する
3 ボールが来そうなところに移動する
4 ボールが来ると同時にキャッチする
目で見るだけでなく、
手や足の動きも脳でコントロールする必要があります。
どこかで動きに支障が生じるとうまくできません。
上手にできるようになるには、
脳が身体をコントロールする力を良くする必要があります。
キャッチボールの例で言うと、
ボールを見て軌道を予測するのは主に視覚です。
目で見たボールの情報を脳に送って、
脳はボールの動きや自分がいるべき場所を判断します。
ボールが来ると同時にキャッチするには、
目でボールが近くに来たことを認識したうえで
手を動かす必要があります。
目から受けとった情報を脳が処理して、
神経を通じて手に命令を出していきます。
脳が身体の動きをコントロールするために使うのが神経です。
脳と身体を繋ぐ神経の動きがあまり良くないと、
身体を思うように動かせずに失敗してしまいます。
脳と身体を繋ぐ神経のはたらきを良くするには、
刺激を与えていくことが大切です。
運動を通じて身体に刺激を与えることで、
脳は運動するときに生じた刺激を処理する力を身につけていきます。
運動をしながら身体の動かし方を覚えていく過程で、
脳内に新しい神経回路ができることも多いです。
神経が発達することで、
これまでできなかった身体の動かし方もできるようになります。
特に5歳~12歳の頃までは「ゴールデンエイジ」と呼ばれる期間です。
この期間は神経回路の発達が特に著しく、
約90%が完成するとも言われています。
ゴールデンエイジの頃は、
遊びや運動を通じて神経が発達しやすい時期です。
脳も鍛えることができるので、
大人になってからも困りごとがでにくい状態になります。
運動療育で大切にしているのは、楽しく身体を動かすことです。
遊び感覚で楽しみながら運動養育をおこなうと、
子どもはもっと運動療育をやりたいという気持ちになります。
イヤイヤおこなうよりも楽しみながらの方が、
子どもに与える効果は大きくなります。
運動療育は、お子さんが楽しく取り組めるような工夫が施されています。
運動療法は、
子どもと大人が一緒に楽しめます。
大人が楽しむことで、
子どももより運動療育を楽しいと感じることができるのです。
運動療育は、日常生活の中で気軽に取り入れることが可能です。
遊びながら身体を動かすことで、
いつのまにか運動療育につながっていることもあります。
運動療育を日常生活の中でおこなうときは、
お子さんが自らすすんで遊びや運動に取り組むことが大切です。
何か指示をだすときは、
お子さんにわかりやすく簡潔に伝えるようにします。
運動療育をおこなうときは、
見本になるように大人も一緒に身体を動かすことが重要です。
言葉では伝わりにくいことも
視覚からの情報なら
理解できる可能性が高くなります。
一緒におこなうときは、
恥ずかしがらずに
楽しみながら一緒に運動することも大切です。
大人が楽しんでいないと、
お子さんも楽しい気持ちになれません。
かけっこや風船バレーなどは、
最初にゴールを決めるのも有効です。
「○○回やってみよう!」と伝えることで、
できたときの達成感もうまれやすくなります。
ゴールを決めるときは、
最初はできるだけ簡単なものにします。
最初から難しいものにしてしまうと、
やる気を失ってしまうからです。
お子さんがうまくできたときやゴールを達成したときは、
思いきり褒めるようにしてください。
褒められることで子どもは
「できた」「うれしい」という気持ちが強くなり
「もっとやりたい」と思えるようになります。
運動療育は無理やりおこなってはいけません。
あくまでも子ども主体で、
楽しみながらおこなうことを忘れないようにしてください。
ここからは、代表的な運動療育をいくつか紹介していきます。
大人も子どもも体調をみながら無理をしない程度に
おこなうことをオススメします。
全身を使う動物モノマネは、
身体の使い方を覚えるのに有効です。
まず大人が動物の特徴をとらえたモノマネをして、
お子さんは大人のマネをします。
例えば
「犬歩き」はハイハイの格好で
「カニ歩き」は手をチョキにして横歩きするなど、
ひと目でその動物だとわかる歩き方をするのがポイントです。
ウサギ跳びやカエル跳びは、膝の曲げ伸ばし運動にもなります。
動物モノマネは応用も可能です。
動物のマネをしながら
お子さんと一緒にかけっこをするのも
楽しめると思います。
前転や後転といったマット運動も
全身運動として取り入れられることが多いです。
コロコロと布団やマットの上を転がって
全身に刺激を与えるのも良い方法になります。
走る、ジャンプするといった有酸素運動も身体の神経の発達に重要です。
安全な場所で
「ここからここまで競争しよう」と
声かけをしながらおこなうのも良いかもしれません。
キャッチボールは、
実はいくつもの動作を組み合わせた運動です。
複雑な運動になるので、
お子さんが楽しめるように工夫をする必要があります。
通常のキャッチボールが難しい場合は、
ボールを床に転がしてキャッチボールをするのもオススメです。
キャッチボールをするときは、
できるだけ柔らかいボールを使用して安全面にも注意をしてください。
風船はボールに比べて柔らかいです。
フワフワと複雑な動きをするので、
視覚からの情報も重要になります。
サーキットトレーニングとは、
トランポリンや平均台など
いくつか全身を使った運動を
組み合わせたもののことです。
1周するという目標が見えやすく、
身体の様々な部分に刺激を与えることができます。
専用の道具がなくても
細いマットやジャンプする地点を決めるなどの工夫で
代用は可能です。
マットの外を川に見立てるなどの
ストーリー性を持たせると
お子さんも喜ぶかもしれません。
公園にある遊具も運動療法の場として有効です。
例えば、ブランコはバランスをとって
体重移動をさせながら漕ぐ動作が求められます。
ジャングルジムやすべり台などの
全身を使う遊具もオススメです。
道具を使わない遊びとは、
違った楽しみがあります。
ヒトはそれぞれ性格や得意なことが違います。
発達障がいのあるお子さんも、
一人ひとり得意なことや苦手なことが違います。
発達障がいそのものを完治させることは、
現在の医療では難しいのが本音です。
しかしながら、考え方や行動は、
周りの人との関わり方や環境によって
改善させることもできます。
お子さんの考え方や行動の改善には、
長期的な取り組みが必要になります。
長い目で見て取り組むことが大切です。
最初におこなうことは、
お子さん自身が持っている個性を
受け入れて認めることです。
その後にお子さん自身が持っている可能性を、
信じてあげることが重要になります。