発達障害〜小学校高学年の時期の接し方。いちばん大切なのは聞くこと

小学校高学年。子どもにとって大事な時期であるとともに、周りの子どもたちの成長によって「できない」ことが目立ってくる時期でもあります。

発達障害の子どもさんも、この頃になると、自分が先生や友だちから非難されていることに確実にわかるようになります。その非難や、何気ない言葉で傷つくこともあります。そのときに、親はやみくもに注意するのではなく、友だちに自分のお子さんのことを伝える役割を担って下さい。

また、大切なのは大人のやり方をおしつけしないこと。「助けるよ」という気持ちで接することをオススメします。

忘れものが多いと自覚しているお子さんには、すべての教科書とノートをカバンに入れて持っていく子もいます。自分が不得意なことを自覚し、自分で考え出した方法です。重くて持っていくのは大変ですが、それを知ったときには、ぜひ「よく考えたね」と褒めてあげましょう。

小学校高学年の接し方のポイント

1 幼少期や、小学校低学年に比べると成長していることが、親の目から見てもわかるはずです。ですが、ここでできるようになってきたからと手離れしないことが大切です。

特に勉強面や、社会性を養うという面では、むしろこのぐらいの年齢からがとても大切です。

2 コミュニケーションに問題があるために、友達関係でトラブルが発生しやすいのもこの時期です

前述のように、親の役割は、自分の子どもさんと友だちの橋渡し、通訳のような仕事ととらえることです。周りに理解者が増えれば、子どもさんにとって、心強い事この上ない環境が手に入ります。

3 子どもさんが悩みを持っているようなら、とにかく聞く姿勢を

子どもさんが困っていること、悩んでいることがないかをよく聞いて知ることも大切ですが、知ったときには「自分で克服できる」ように助けることを意識しましょう。

高学年になると、「空気を読む」「先を読む」ということが求められるようになり、先生やクラスメートから「できていないこと」や「迷惑を掛ける」ことに対して厳しい目で見られるようになります。

そんな環境下で、人知れず、悩んでいることもあるかもしれません。たくさん聞く、そして子どもの主体性を生かしてサポートしていきましょう。

4 ほかの子どもさんとの違いに悩み始める時期

クラスメートから、避難されたり、言われることから自分がほかの子どもさんとは違うと、明確に意識し始める時期でもあります。

その違いに悩んでいるようなら、なにが違っているのかを親から説明してあげて下さい。その違いがあっても、「愛していること」「認めていること」「人と比べる必要はないこと」などをわかりやすく伝えてあげると良いでしょう。

相手を不快にさせてしまうストレートな表現

小学校高学年にもなると、特に女子は「空気を読む」話し方がうまくなってきます。

その時期に、「空気を読めない子」は、それだけで孤立してしまうことがあります。

例えば、太っている友だちに、「太ってるからその服は似合わない」と言ってしまうこともあります。

ですが、それはその子が感じた正直な気持ちです。

とはいえ、言ってしまうと周りの空気は良くない方向へ行ってしまう。それを避けるためには「言ってしまうと相手を不快にする言葉」をリストアップして、それらの言葉を使わないように説明してあげましょう。

例えば、
「ブス、デブ、のろい、バカ……」などです。こういう言葉を実際にあげながら、子どもさんに説明するのです。

容姿や服についても、「褒める以外の言葉は使わないほうがいいんだよ」と話しましょう。

そしてもう一つ、話をした後に、話している相手の顔の表情を見るように伝えることも重要です。発達障害の子どもさんは表情を読み取るのが苦手ですが、教えることで少しずつ分かるようになってくるものです。これは、教えなければわからないし、気づけないことです。それを教える役割は、ほかの誰でもなく、やはり親であるべきでしょう。

また、この表情を見て、もし「嫌な顔」「悲しそうな顔」をしたときには、謝ることも教えるようにしましょう。

本人に障害があることを伝える時期

小学校高学年は思春期に差し掛かる時期です。先程から何度かお伝えしているように、子ども自身が周りとの違いに気づき、なにか浮いていると感じ始める時期でもあります。

そして、発達障害のある子どもさんは、その理由がわからない場合が多いのです。

発達障害の特性を伝えるタイミングは、人それぞれではありますが、本人が「うまく行かないなあ」と感じ始める時期が良いでしょう。なぜなら、成長してきたことで客観的なアドバイスも受け入れやすくなっていることが多いからです。

実際の診断名の「自閉スペクトラム症」という言葉よりも、具体的な特性を伝える方が良いようです。

「あなたには〇〇の特性があるんだよ」と話してあげて下さい。

そして必ず、苦手なことだけでなく、得意なこと、優れている能力についても伝えるようにしましょう。

伝えるときには、
良いことを先に伝えて、そのあとにできていないことを伝えることで、自信を大きく損なわずに伝わります。そんな話をすると、自分が感じている違和感や、うまく行かないと感じていることを話してくれるかもしれません。

親子でしっかりと子どもさんのことを話す時間を作る時期ともいえるでしょう。

「凸凹はあるけど、〇〇は他の子に負けないよ。そこを一緒に伸ばしていこう!」と話してみましょう。

このことで、子どもさんが傷ついたり、自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。ですが、親御さんが抱いている愛情や信頼を伝えることで、子どもさんの「頑張りたい」という気持ちを持てるようになるはずです。

話を聞くときの姿勢として気をつけたいのが

「話してくれて嬉しい。ありがとう」という気持ちを持ちながら聞くことです。親の嬉しさは、わかりずらくても伝わるものです。

また、落ち着いた環境で聞くことも大切です。気が散ってしまうようなテレビやゲームがあるような場所は避けましょう。子どもさんも親御さんも穏やかに話せる場所が理想的です。

そして、もう一つの方法が、実際の悩みと解決方法を書いてみることです。

書いておくことで、子ども自身も対応方法を覚えておくこともできますし、考えていることを整理することも簡単になります。

不登校の徴候が現れるのもこの時期です

発達障害があると、それだけでいじめられる対象になりやすいもの。もちろん、いじめだけでなく特性が要因となる、居心地の悪さ、自分だけ浮いている感じなども不登校の要因になることもあります。

うまく行かないことが毎日あって、クラスメートや先生から避難される日々が続いているかもしれません。それに人知れず、悩んできたのかもしれないのです。

ですから、クラスの中で、居場所がないと感じているような出来事がないかは、子どもさんと話す時間を作って、できるだけ早い段階で親が気づけるようにしたいものです。もし不登校になってしまったら、回復までは時間がかかることが多いので、未然に問題に気づいて対処できると良いですね。

ただ、もし不登校などになったとしても、親御さんは気づけなかった自分を責めないで下さい。子どもさんと起きたことを一緒に乗り越えていく覚悟さえあれば、時間がかかっても良い方向にいくはずです。子どもさんの一番のファンで、受け入れ、認め、愛していることが伝わるように接していくことが大切になってきます。

もちろん、学校や専門機関の助けも借りて、抱え込みすぎないように子どもさんを支援して行く姿勢でいるのが良いと思います。

 

 

 

この記事を書いた人
出版社での編集者としての経験を活かし、あらゆる分野の情報発信をしている。リサーチ、分析、整理を得意とし、わかりやすく伝えることを信条としています。四人兄弟の長男で、兄弟のうち二人が重度の知的障害者+自閉スペクトラム症。自身もADHDの注意欠陥障害・自閉スペクトラム症のグレーゾーンとの診断を受けている。その経験から、現在は、発達支援事業にも積極的に関わっている。

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