小学校に入る前までに教えておきたい発達障害の子どもさんへの対処法とは

発達障害は子どもさんの成長とともに、変化することがあります。小さい頃には良いと感じていたことが実は障害だったということもありますし、歳を重ねることで特性が安定していくこともあります。

この記事では、小学校入学前までの年齢別に知っておくべき知識と対処法をお伝えしていきます。

 

親御さんが目指すべきは、子どもさんが大人になったときに、親御さんの手から離れたとしても、周囲の人々の手を借りながらも、自分の力で生活していくことではないでしょうか?

 

そのためには、親御さんの子どもさんの子育てへの取り組み方や姿勢が大きく影響します。良い関わりによって長所を伸ばし、子どもさんの良さを活かしながら成長していくことで自立した大人への道がひらけます。ですが、周囲の大人が適切ではない対応を続けてしまうと、良くない影響だけでなく犯罪につながるケースも出てくる傾向があります。

子どもさんにとって良いことは何か? 子どもさんの良いところはなにか? または出来ない、不得意なことなにか? それらを伸ばし、少しでも成長して大人になったときに少しでも「生きづらさ」を感じないようにするには何ができるかを考えていく必要があります。

 

ここでは、そのために参考になる知識や対処法についてまとめています。

目次

0〜1歳のころ。子どもさんに心地よく過ごしてもらいましょう。

生まれたばかりで発達障害に気づくケースは稀です。1歳半検診で疑いがあることはありますが、大抵の場合は「様子を見ましょう」と言われることがほとんどです。

 

とはいえ、思い当たるところがあるようでしたら、ぜひADHDやASD(自閉スペクトラム障害)について調べておくことはやっておくと良いでしょう。たとえ、子どもさんに障害がなかったとしても、子どもさんとの接し方や対処法は子育てに本当に役立つ知識ばかりです。

たくさんたくさん話しかけて下さい

生まれたばかりの赤ちゃんは、健康だっとしても反応が薄い、笑わないといったことはよくあることです。反応がないからといって、話しかけるのはやめないようにしてください。仮に反応がなかったとしても、赤ちゃんは親御さんからの愛情がわかっていないわけではないのです。

赤ちゃんの時期は、愛情の強さを感じる必要がある時期です。「大好き」「幸せ」という思いと言葉を伝えてあげて下さい。

大切なことは、赤ちゃんが不安や恐怖を感じないで心地よく過ごせることです。

専門家の方とつながりましょう

かかりつけの小児科や保健所では、発達障害の子どもさんを持つ親御さんをサポートしようと献身的に関わってくれる方がたくさんいらっしゃいます。ひとりで抱え込まず、専門家の方に不安や気になっていることを話せる環境があるだけでも、気持ちが楽になります。

それが、子どもさんに対して、余裕をもって、良い関わりをつくる力になるでしょう。

自閉症スペクトラム症の感覚過敏

赤ちゃんがささいなことで目覚め、夜泣きをする。ということはよくあります。

それが頻回に起こるのであれば、もしかすると自閉スペクトラム症の感覚過敏かもしれません。

自閉スペクトラム症についてはこちら〜子どもさんが自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたら

もしそうだとしたら、あるいはそうでなかったとしても、夜泣きは父母が力を合わせて対応していくようにしたいものです。特に子育てで一日奮闘しているママが少しでも眠れるように体制を考えましょう。

たとえば、週末はパパが寝かしつける。実家の両親を頼るなど、助けてくれる人を探して、実際に助けてもらいましょう。

また、昼間の家事は少しぐらいサボる気持ちで、赤ちゃんが昼寝をしたら、ママは一緒に寝ましょうね。大切なことは、部屋がきれいなことや、料理をきちんとつくることではなく、ママが健康でいることです。

 

感覚過敏の赤ちゃんが泣く原因とは?

おむつもチェックした。体調も悪くなさそう。お腹も満たされている。でも泣いてしまう。そんなときにはほかの原因かもしれません。ちょっとした不快を過敏に感じていることが原因かもしれません。

こういった過敏症がある赤ちゃんは、その環境や状況に「慣れる」ことはありません。ですので、環境を変えることをオススメします。感覚の過敏症状は4~5歳までには落ち着くことが多いようですので、まずは子どもさんに合わせるようにしてみましょう。

泣き止まない原因がこれです

1 におい
ママが抱っこしたら泣くのは、もしかしたらママの化粧品の匂いかも。無香料に変えただけで嫌がらなくなったということもよくあります。パパだと泣く、誰かだと泣く。それはニオイが原因かもしれません

2 光
強い光が苦手な子どもさんもいます。太陽光や蛍光灯で不安を感じることがあるようです。照明を白熱灯など柔らかいものに変えると改善するかもしれません

3 味
ミルクの種類、離乳食の硬さや舌触りが変わるだけでも食べなくなることも。

4 肌ざわり
服やタオルのゴワゴワが苦手な子もいます。化繊の肌さわりを嫌がることもありますよ

5 音
聴覚が過敏な子どもさんだと、掃除機や換気扇。場合によってはトイレの水を流す音に反応する子どもさんもいます。

6 空気
空気の流れに過敏に反応する子もいます。窓からの風やドアの開閉で入る風が原因となることもあります。

 

子どもさんが健常、障害があるに関わらず、ママがより多く休める環境を整えましょう。ひとりで抱え込まないこと。

 

また、感覚に関連することは思い当たるようなら環境や使っているものを変えるようにしましょう。変えただけでピタッと症状がおさまることもあります。赤ちゃんに合わせて心地よい環境を整え、ママが子育てに力を注げる環境を作ることを最優先しましょう

 

子どもさんの伝えたいことがわからない!?

赤ちゃんが泣くのは、シンプルな理由からです。

主に生理的な理由がほとんどです。

例えば
・おなかがすいた
・おむつがぬれている
・体調が悪い
・眠いのに寝付けない
・暑い
・寒い

などです。

ですので、まずは考えられる不快感を取り除いてあげてみてください。最初の頃は間違っていたとしても、泣き止むためにいろいろやってみたことは経験になっていきます。

自閉スペクトラム症の傾向がある場合は、肌に触れる服や寝具が変わっただけで不機嫌になることもあります。基本的な世話をしても、泣き止まないなど反応が過敏だなと感じたら、遠慮せずにかかりつけの小児科医や、保健所に相談してみましょう。また、都道府県の発達障害支援センターなども是非活用して下さい。

もしかしたら、それ「産後うつ」かもしれません

赤ちゃんの様子がおかしい。お医者さんに相談したけど、納得できない。

抱っこを嫌がるし、笑わないといった不安が募ることもあるでしょう。確かに、そういったお子さんに発達障害があることもありますが、子どもさんには全く問題がなく、お母さんが「産後うつ」だったというケースが意外にあります。

出産後の子育ては、大きなストレスがかかることです。子育ては最初の子どもさんなら、何もかもが初めての経験ですし、教科書どおりなんていくものではありません。妊娠中にいろいろ本を読んだり、セミナーに参加したりして準備したとしても、わからないことだらけというのが実際の子育てです。

そういった中、産後うつを発症してしまうこともあるのです。統計では10~15%の女性に発症するというデータもあり、珍しいことではありません。

症状が出始めるのは産後2〜3週頃から、通常は1〜2ヶ月で回復しますが、中には数ヶ月続くこともあります。

また、もしも赤ちゃんに発達障害があった場合は、お母さんの心の安定がとっても大切になります。特に発達障害の子は感覚が過敏だったり、コミュニケーションがとりづらかったりしますのでなおさらです。

産後うつが出る出ないに関わらず、子育ては体力も気力も必要です。家族や友人に助けてもらいましょう!

産後うつチェック項目

・気分が落ち込む
・不眠がつづく
・食欲がない
・関心があったものに無関心になっている
・育児に自信が持てない
・子どもや自分の将来に不安を感じる
・育児に神経質になりすぎている
・夫からの愛情を感じない
・夫婦関係を持ちにくい
・子どもを可愛く思わない
・人と会うのが面倒になる
・育児を放棄してしまうことある

もし、思い当たることが多くあるのであれば、医療機関や保健所などに相談してみましょう

2〜3歳のころ。「ほかの子と違うかも」。そうはっきりと感じ始める時期

自閉スペクトラム症の特性がある場合、2歳を過ぎたあたりから症状が目立ってきます。

・言葉が出ない
・歩こうとしない

これらの2つのポイントが判断基準になるでしょう。不安に感じたら遠慮なく、医療機関や保健師に相談をしてみましょう。とはいえ、相談をしても診断がつかない場合もあります。発達障害があった場合は放置してしまうことで適した療育を受けるタイミングを逃してしまうかもしれません。

実際、早いうちに適切な対応ができるようになれば、言葉に頼らないコミュニケーション方法、感覚過敏をやわらげる方法などを学ぶことができます。障害がなかったとしてもこれらは役立つ知識ですし、子どもさんにとっても、お母さんやお父さんにとってもわるいことはひとつもないですし、むしろ良いことばかりです。

療育を受けるか否かの判断に迷ったら

もし子どもさんにこんな症状が他にあったら療育を受けることを考えてみても良いかもしれません。

・反応が乏しい
・かんしゃくがひどい
・寝ない
・食べない

このような症状があると、子育てはいっそう大変なものになります。こういった子どもさんの困った行動とうまく付き合うためにも療育施設を利用するとともに、親御さんも子どもたちの接し方や話しかけ方を療育施設の職員さんの対応から学ぶことができます。

いざ、療育を受けさせたいと思ったら、まずは保健所または役所の福祉課に相談してみましょう。

児童発達支援事業所や、児童発達支援センターなどを紹介してもらうことができます

児童福祉法に基づいた施設であれば、複数回通っても一ヶ月、数千円で利用できます。
(自治体や施設によって料金は変わります。窓口や施設に確認してください)

言葉がでないので、話しかける頻度が少なくなりました

自閉スペクトラム症の特性のひとつに、他人への関心が薄いというものがあります。それは言葉への反応が薄いことにもつながっています。

反応はたしかに薄いかもしれません。ですが、よ〜く観察していると、微妙ながら反応することがあります。

その反応が見受けられたらチャンスです。

「今、笑ったね!」
「うれしいんだね」 といった言葉を返してあげて下さい。

歩みは遅いかもしれませんが、少しずつ子どもさんと心を通わせられたと感じることが増えてくるはずです。

これを「共感性の窓」といいます。

自閉スペクトラム症の子どもさんの「窓」はとても小さくて気づきにくいもの。それに気づくのは誰あろう、やはり親なのです。

話せる。言葉が繋がる。わかりやすく伝えられる。ということをゴールにするのではなく、「心がつながったかどうか」を大切にしましょう

散歩中に、きれいな花があったら、子どもさんと一緒に見ながら「お花きれいだね」。空を見上げて、空がきれいなら。「今日はお空がきれいだね」と声をかけてみて下さい。この一つ一つの声かけが、「家族といると楽しい」ということを少しずつ理解するようになってきます。

ですが、散歩のような遊びや声かけをいやがる子もいます。その時は、一人遊びの隣りに座って一緒に遊びましょう。積み木やパズル、ブロックなんでも一緒にやって、遊ぶ姿を見せるようにします。焦らずにゆっくりと「子どもさんとの楽しい時間」を共有することが大切になってきます。

かんしゃくを起こしてしまったら

かんしゃくを起こしたときに、できるだけ避けたいのはどなったり、しかったりすることです。

何が嫌だったのか、つらかったのかを共感してあげましょう。

テレビの音量かもしれませんし、トイレのニオイかもしれません。

自閉スペクトラム症の子どもさんはとても頑固な側面もあります。

かんしゃく時の実際の対応は

かんしゃくを起こしたとしても、ケガをするような大きな危険がない場合は、「見守る」ことが良いでしょう。本人が苦手でなければ、抱っこしてあげて下さい。

 

壁にあたまをぶつけるような自傷行為はやめさせるのではなく、クッションなどで対応しながら、気持ちが落ち着くのを待ちます。

 

かんしゃくがある程度落ち着くまでは、刺激を避けるようにしましょう。落ち着ける場所が近くにあるのであれば、一緒につれていくのも良い方法です。

そして、もし普段ならかんしゃくをおこす用な状況で、我慢できたら褒めましょう!

「泣かずに、よくがんばったね。えらかった。お母さんも嬉しい」といった言葉をかけて下さい。

偏食で困っている

食べられるものが極端に少なくて栄養面で心配という声は親御さんからよく聞きます。

そこでの捉え方ですが

「子どもさんが好物だけを食べ続けても心配しすぎない」ことが大切です。

具体的な対応ステップを考えてみましょう

●どうしていやがるのかを考えてみる
子どもさんがいやがるのにはいろいろな理由があります。

例えば
・かみにくい
・食感がいや(ざらざら、ぬるぬるなど)
調理法を工夫することで食べられるようになることもあります

●代用できる食べ物はないか?
工夫しても食べてくれないということもよくあります。そんなときは、同じような栄養素が取れる、他の食品で食べられるものはないかと考えてみましょう。栄養バランスは多少悪くても心配しすぎないこと。徐々にいろいろなものを食べられるようになっていきます。

●食べられるようになったら褒めてあげましょう
「やったね!」「食べたね」といった声かけはぜひかけてあげましょう。その他の方法としては、食べたら、シールを貼るなどの達成感を得られるようにするなど楽しく苦手を克服するような工夫もしてみると良いかもしれません。

大切なことは毎日少しずつ、無理のない範囲で、子どもさんが楽しく挑戦させる関わり方です。

言うことを聞かない!

何度注意してもしてほしくないこと繰り返す。そんな悩みをお持ちのお母さん、多いのではないでしょうか。

子どもさんのことでこんなことで困っていませんか?

・欲しいお菓子があると持ってくる
・あっちに行きたいと思うと、周りを見ずに走り出してしまう
・スーパーで走り回ったり etc…

こういった行動をしてしまうのはその子の特性があるからです。

エネルギーが高い子どもさんは、興味があることで頭がいっぱいです。注意をするのも、根気強く注意を与える必要がありますが、気をつけたいルールがあります。

否定はしないこと。何をしてほしいか、どうすればよいかを具体的に

 

できれば避けたい事例がこちら

・お菓子を勝手に持ってきちゃダメ
・道路に飛びだちゃダメ
・スーパーでは走っちゃダメ

伝えたいことを具体的に伝えた事例

・お菓子はママと一緒に選ぼう
・向こうに渡りたいときは、信号を見てね。青い信号になったら渡ろうね
・ここは走っちゃダメ。帰り道に公園で走ろうね。

危険な行動はすぐに止めること

・周りを見ずに道路を渡ろうとするときなどは、体を張ってすぐに止めましょう
・お店でお菓子を食べようとするなどの、やってはいけないこともやる前に毅然と止める
・スーパーを走り回るなら、やはり体を張って止める

大事なことは、危険だったり、してほしくないことはすぐに止めることに加え、体を張ることも大切になります。ひとつひとつの小さな積み重ねがお子さんとの信頼関係を作っていくことができます。

叱るときは短く

・ストップをかけたら、真剣な表情で叱りましょう。短い言葉で「飛び出してはいけません」「走ってはいけません」と伝えましょう

約束ごとを決めて練習をする

やってはいけないことは、なぜ、良くないのか理由も含め説明する機会を作りましょう。

場面ごとの約束事の事例をご紹介しましょう

・道路を歩くときは手を繋ごうね
・気になるものが見えたら「あっちに行きたい」とママに言ってからね
・スーパーでは走らないでね

といった具体的な約束事です。

子どもさんは約束を忘れていることが当たり前と考える

その場に行くと、子どもさんはやはり約束を忘れていることがほとんどです。

そんなときは、その都度、その場で約束を確認します

・通りの多い道路に来たら、「気になるものが見えたら、「あっちに行きたい」ってママに言うんだったよね?
・スーパーでは走らないんだよね?

約束したことを思い出せるように、その都度、根気よく何度も機会あるごとに話しましょう。

できたらすぐに褒める

褒めるタイミングはできたらすぐにです。

そして具体的に褒めましょう。何について褒められているかもわかるように伝えます。

また、うまくできたときに楽しめるようにポイントシールをあげるなどのゲーム性をもたせても良いでしょう。

もうひとつは、危険なこと以外は叱らないというスタンスも大切です。

褒める機会を増やすことで、子どもさんは確実に自尊心を持てるようになります。この自尊心が叱られるような行動を自分で控えるようなコントロールするすべを自然と学ぶ力になります。

失敗したときには

静かな場所に移動して、目を見ながら叱るのではなく、注意するという意識でしっかりと伝えましょう。

全体を通していえるのは、「自分が正しいことをしている」「自分が危ないことをしている」ということがわかるようにすること。言葉で伝わらないときは、体を使って伝えることも大切になってきます。

一度でできるようにはならないのも事実です。10回、20回とやっていけばできるようになります。

夜ふかしが止まらない

寝付きが悪く、深夜2時や3時でも寝ないことがある。こんな話もよく聞きます。

昼夜逆転している場合は、ちょっとした順番をかえるだけで効果が出ることがあります。

 

それは、早く寝せようとするのではなく

 

早く起こすことから始めることです。

 

実際にはいくつかのステップを踏んで、くり返し毎日取り組んでいきます。

STEP1 朝早く起こしてぐずってもなんとか起こします。

STEP2 お子さんの好きなものを用意した朝食を食べさせます

STEP3 公園や児童館でたっぷりと遊ばせる

STEP4 早めの夕食

STEP5 テレビやゲームは就寝の2時間前には消す

STEP6 寝る前のルーティンを用意する

例えば、読んでほしい本を3冊読んだら寝るなど毎日同じパターンのルーティンを用意します。

 

また入浴については、ベッドに入る1時間程度前に終わるようにすると、就寝時間のころには体温が下がってきて入眠しやすいと言われています。

 

どうしても眠れないことがつづくようなら、なんならかの病気が隠れている可能性もあるので、医療機関に相談しましょう。場合によっては薬が処方されることもあります。

 

4〜5歳のころ 社会のルールの理解を促す時期

4〜5歳は小学校に上る前の準備期間でもあり、子どもさんの発達にとって節目ともいえる時期です。

この時期になると、なんとなく「人の気持ち」を認識し始めて、「人が嫌がることはやめようね」といった言葉が通じるようになってきます。

 

また、友だちと遊ぶ楽しさを実感する時期でもあり、社会のルールを知る必要性が高まってくるタイミングです。

 

ですが、自閉スペクトラム症傾向の子どもさんの場合、この時期になっても人の気持ちをうまく理解できません。そのため、ほかの子どもさんと違うということが目に見えてきます。この時期に「もしかしたら障害かも」と気づくこともあります。

 

実は発達障害があると、社会のマナーやルールを、そのうち分かるだろうと放っておいても身につきません

つまり、教えてどう対処するか、行動するかを教えていく必要があります。教える際に注意が必要なのは、叱るだけでは伝わらないということ。「褒める」「肯定的な指示をする」ことで、身に付けられるよう支援していきましょう。できるだけ叱らない方法を考えて行うことが大切になってきます。

 

焦らずにゆっくりと教えていきましょう。

 

また、保育士や先生たち、施設のスタッフさんなどとも密に連携し、情報を共有して行くことも大切になってきます。

 

子どもさんの集団の中で、「貸して」「ありがとう」「ごめんなさい」が自然と使えるようにゆっくりと教えていきましょう。

 

子どもさんの特性に早い段階で気づけば、子どもさんの将来に向けての計画、ロードマップのようなものを作ってみてはどうでしょうか?

あなたのお子さんの得意・不得意を把握し、夫婦で話し合いましょう。良い特性をどうしたら伸ばせるか。どんな選択があるかを計画してみましょう。途中、新たな選択がでてきたら、今の計画でよいのかを再検討しながら、子どもさんにとって良いと思われる道を修正していくようにします。

 

大切なことは決めたことを守ることよりも、子どもさんにとって良いかどうかを判断基準にしてください。そんなの当然と思っているかもしれませんが、いざ、自分達が選択しなければならないと状況になると、意外に決めたことに固執してしまうことがあります。

食事に時間がかかってしまいます

この時期によくお母さんから聞くのが、この言葉です。

「なかなか食べ終わらない」「ダラダラ食べる」というもの。

発達障害のお子さんに限らず、この年令の時期ではママの共通の悩みかもしれません。

なぜ食べるのに時間がかかってしまうか? 意外に見落としがちなのが、子どもさんが「空腹か」ということ。おやつを時間を決めずにダラダラと食べてしまっていたり、水の代わりにジュースや牛乳を飲んでいたりしていませんか?

 

もし、思い当たるようなら「間食」の見直しをまずは考えましょう。

 

その他の要素としては、食事に集中できないものが、子どもさんの視界にはいっていないでしょうか?

 

おもちゃ、つけたままのテレビ、本など気持ちが向いてしまうものが目に入らないようにしましょう。食べることに集中できる環境を整えることで早く食べられるようになることもあります。

 

それでも、ダラダラと食べるようであれば、「砂時計」を活用しましょう。

 

砂時計を目の前において、これが下に落ちる間に食べちゃおうね!」というように、時間が見える形にして言葉かけをします。

 

また、フォークやスプーンの使い方が苦手な子どもさんには、おにぎりやサンドイッチなど食べやすいメニューにするのも良いでしょう。

 

食べながらおしゃべりしてしまう子どもさんには、「食べ終わったら話そうね」と声をかけて、食べ終わるまでは話しかけてきても無視してもよいです。

 

スムーズに食べているようだったら、積極的に褒めましょう。「きれいに食べてるね」「食べるの上手になったね」と声をかけてあげると、食べることに集中すると褒められるので、よい影響があります。

 

とにかく、小さなことも褒めることです。食べ始めたときに、イスに座っていたら「褒める」。続けて食べていたら「褒める」ことを意識することをオススメします。

 

食べ終わる前に、席を立ってしまうようなら、もうおなかがいっぱいなのかもしれません。

 

そんなときは、怒るような口調では注意せず、「もうおなかいっぱいかな? 片づけるよ」といって下げてしまうようにしましょう。そうすることで、おなかいっぱいになる前に席を立ってしまうと、食べられないことを少しずつ理解できるようになります。

 

ポイントは、怒らずにしてほしいことを、短く伝えること。そして、褒めることです。

 

友だちをたたいてしまう

自分の思うように行かないことがあると、友だちをたたいてしまう。そんなこともあるのではないでしょうか。

 

もし、友だちをたたこうとしたら、すぐに親が体を張って止めましょう。

 

きっぱりと、毅然として「人をたたいてはいけません」と伝えて下さい。あとから叱っても、子どもさんは「なんのこと?」と感じていることがよくあるのです。

 

というのも、発達障害があると長期的な記憶が未熟な子どもさんが多いのです。

 

また、友だちのものを取ろうとするときも同じです。

 

「これは〇〇ちゃんのものだよ。取ってはいけません」と、目を見て伝えましょう。

 

そして、手を止めてやめることができたら、今度は「えらかったね! よくがまんできたね」と褒めてあげて下さい。

 

褒められると、再び取ろうとするのをたいていは諦めるようになります。

かんしゃくを起こしたら

もし、かんしゃくを起こして泣いてしまったら、おさまるまで、そばにいて様子を見るようにして下さい。

 

そのときには、「泣き止むまで待っているよ」と伝えましょう。

 

さらにもう一歩すすめるとしたら、それは「ありがとう」「ごめんなさい」を教えることです。

 

友だちのものを取ろうとして、それをやめることができたときがチャンスです。

 

やめることができたあと、次は「どうすればよかったのか」を教えます。

 

どうしても、友だちのものがほしいと思っているのなら、

 

「貸して」と頼むことを教えます。そして、貸してもらえたら「ありがとう」を言うことも教えましょう。

 

また、奪い取ってしまった場合は「ごめんなさい」といって、友だちに返すことを教えます。

 

「ありがとう」「ごめんなさい」「貸して」といった言葉は、子どもさんが社会でスムーズに生活していくための潤滑油のような役割をしてくれます。どんな場面でもスムーズに言葉が出てきて対応できるように、家庭でも機会を見て教えていくと良いでしょう。

 

まとめ

発達障害の子どもさんと接するときに、注意したいのは、極力叱らないこと。叱るときは、きっぱりとわかりやすく短い言葉で、なにがいけないのかを目を見て伝えるようにしましょう。

 

そして、できるだけ、褒めるように心がけることです。できて当たり前と思うようなことでも、特性のある子どもさんにとっては難しいこともあります。小学校入学前の年齢なら、とにかく小さなことを褒めていくようにしましょう。

人に対してのトラブルの原因は、自分の気持ちをコントロールできていないから。コントロールできることが良いことだと知ることが、「がまん」できる動機になります。その動機となるのが、親から褒められるというご褒美です。

 

「できた」ことがあったら、すぐに褒める。「してほしくないこと」で他人に危害がでるようなときは、すぐに制して、簡潔に伝える。この2つのポイントを意識して、行動しましょう。もちろん、一朝一夕では良くはならないでしょう。

ですが、この時期に子どもさんと真摯に向き合い、自分をコントロールすることを伝えておくことはとても大切です。

 

保育園や幼稚園は、比較的、保育士や先生のサポートも手厚いですが、学校にいくと普通学級では期待しているような支援を受けられないこともあります。そんなときに、自分で自分を制する力を身に着けておくことが、子どもさんの学校生活にとってとても価値あることになります。

 

健康な子どもさんの何倍も大変かもしれません。ですが、決して無駄にはなりません。5歳までのこの時期は、子どもさんの未来のための大切な大切な時期なのです。

 

 

 

この記事を書いた人
出版社での編集者としての経験を活かし、あらゆる分野の情報発信をしている。リサーチ、分析、整理を得意とし、わかりやすく伝えることを信条としています。四人兄弟の長男で、兄弟のうち二人が重度の知的障害者+自閉スペクトラム症。自身もADHDの注意欠陥障害・自閉スペクトラム症のグレーゾーンとの診断を受けている。その経験から、現在は、発達支援事業にも積極的に関わっている。

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