発達障害の子どもさんの才能を伸ばすために必要な3つのこととは?

才能を伸ばし、能力を発揮させるために必要なこととはなんでしょう。

1 情熱
2 継続した努力
3 仲間・支える人

能力を高めるためには、ほかにも考え方はあるでしょうが、ここではこの3つとして定義します。

ほかにも、才能、メンター、もっと大きな意味での環境などがあります。

 

「知能レベルは最高でなくても、最大限の粘り強さを発揮して努力する人は、知能レベルが最高に高くてもあまり粘り強く努力しない人より、はるかに偉大な功績を収める」(アンジェラ・ダックワース著 GRIT)

このような研究結果は実はいくつも出ています。

能力向上の好循環「社会的相乗効果」とは

この100年で人のIQが飛躍的に向上していることをご存知でしょうか?

IQ検査の下位検査に著しくスコアが上昇している分野があります。

それが抽象的な思考能力という項目です。

例えば
「犬とうさぎはどんなところが似ていますか?」という質問があったとしよう。

子どもたちはこんなふうに答えるでしょう
「犬もうさぎも生きものです」
「犬もうさぎも動物です」

ですが、このような回答では点数は半分しか獲得できません。

では、こんな答えはどうでしょう?
「両方とも哺乳類です」。

このような回答は満点を獲得します。

それが100年前の子どもたちはどうなるでしょう?

「犬はうさぎを追いかけます」。

このような回答は、0点となってしまいます。

つまり、人間の抽象的思考能力は、どんどん高くなっているわけです。

環境で人の能力は向上する

今の時代、子どもたちは自分の好きな分野があると、それをYoutubeなどの動画で見る機会が増えているかも知れない。

その動画がどんな影響があるかについて、少し説明します。

アメリカはバスケットボールが非常に人気のあるスポーツのひとつです。

バスケットボールの試合はテレビが普及しだしてから、さらに人気がでるようになりました。というのも、子どもたちがテレビでバスケットボールの試合を観るようになり、一流の選手のプレイを簡単に、頻繁に観ることができるようになったからです。

子どもたちは一流選手のプレイを真似るようになりました。

結果、自分よりややスキルの高い仲間とバスケットボールをプレイする機会が増え、全体のレベルが底上げされ、人気とともにプロバスケットボールプレーヤーのレベルも向上しているのです。

これがアメリカのフリンというかが学者が提唱した「社会的相乗効果」です。

つまり、環境の変化が、人のIQをあげ、事例にあげたバスケットボールのプレイレベルが向上させたといえるのです。

さらに、良い環境に身を置けば、人は才能や能力を伸ばすことが容易になるともいえるのです。

環境の変化と発達障害

発達障害がある子どもさんは、環境の変化になかなか適応できません。

ですが、適応できないわけではありません。少し時間が多くかかるだけです。

その場にいる価値を理解できれば、むしろ子どもさんにとって過ごしやすい場になることもあります。

例えば、そこが、自分が好きで得意なことができる場所だったらどうでしょう? 最初は慣れずに不安を感じ、パニックを感じるかも知れません。

でも、そこにいれば自分の学びたいこと、知りたいこと、やりたいことができる場所だとりかいしたらどうでしょう。

発達障害のある子どもさんの特徴に、好きなことは集中して取り組める傾向があります。

彼らの才能を伸ばし、能力を高めるためには、集中して取り組める環境がとても大切です。

エジソンの母親がエジソンに与えた環境を考えるとわかりやすいかも知れません

小学校を3ヶ月でやめざるをなかったエジソンを、母親は自分が教師のかわりに教えることを決意します。そして、エジソンにあらゆる分野の本と、実験室を与えます。

疑問に思ったこと、知りたいことを調べ、実験できるものはそこで実験できる環境を整えました。エジソンにはADHDの傾向があったといわれます。

エジソンは好きことをとことんやり続けられる環境を与えられたことで、その才能を開花し、能力を増し加え、現代につながる多くの技術を発明したのです。

発達障害があったとしても、適切な環境変化は望ましい結果を生む可能性を高めると言っても良いでしょう。

このような事例は、ASDやADHD、LDの可能性があった過去の偉人たちにも見られることでした。あるきっかけで環境がかわり、自分の得意なこと・好きなことに取り組めるようになったことで、人生で人々から評価される功績を残すことができた。といえるのではないでしょうか?

エジソン以外の偉人も発達障害だった!? 〜 発達障害の特性は可能性の裏返しかもしれません

そう、人は環境で変わります。そして発達障害のある子どもさんも適切な環境に身を置き、適切なサポートを受けられれば変わります。自身の能力を伸ばすことも可能になるのです。

その環境の大きな要因のひとつに「仲間」がいることがとても大切です

ある事例をご紹介しましょう。東大合格者を年に何十人も出している学校は、東大へ行くことが当たり前。その環境で仲間と一緒に高め合えば、東大にいくことは簡単だといわれています。

これは実際にそういった進学校に行って、東大に合格した人たちに話を聞くと、よくいわれる話です。

一方で、地方の進学校などは、環境が異なります。

その学校で東大に行くのは、せいぜん年にひとりかふたり。東大に行くことは当たり前ではなく、特別の極みと言って良いことです。

周囲からのプレッシャー、試験会場でのアウェー感は大きな影響を与えます。

東大合格者が多い進学校なら、試験会場には見知った仲間、ライバルがいます。アウェーというよりはホームでの受験といえるでしょう。

いわずもがな、どちらが合格しやすい環境に身をおいているといえるでしょうか。

これは発達障害の子どもさんも同じです

常にアウェーで、理解されない世界、叱られる世界で学ぶのと、理解され、褒められ、好きなことに遠慮なく取り組める環境に身を置き、そこには一緒に学ぶ仲間がいるとしたらどうでしょう?

人が能力を伸ばすためには、仲間、支えてくれる人が不可欠なのです。

好きなことを仕事をにするのは本当に良いことなのか?

発達障害のある子どもさんは、自分の興味あることにはとことん取り組むできる傾向があります。

この「とことんできる」ことは、実は素晴らしい才能です。

それは、健康な人の「情熱」以上のものかも知れません。

知りたい。楽しい。すごい。もっと知りたい。わからない。わかった! というプロセスを持ち続けるには情熱のようなエネルギーが必要です。

そのような思いを抱く、「何か」を見つけてあげたら、子どもさんは生き生きして、自分の成長をさせていくことができるのではないでしょうか?

発達障害の子どもさんは好きなことに対しては、健常者が持っている情熱以上のこだわりをもっているとしたら、その好きなことが誰よりも得意になっていく可能性は高いのです。

そして、仕事に関して、このような統計データもあります

「人は自分の興味に合った仕事をしているほうが、仕事に対する満足度がはるかに高いことが明らか」になっています。そして、「人は自分のやっている仕事を面白いと感じているときのほうが、業績が高くなる」というデータもあります。

つまり、仕事が幸せに感じるかは、その人がその仕事をどれほど望み、どれほど強い情熱と興味を持っているかにかかっているんです。

最後に必要なのは継続する努力

先述の情熱ときってもきれないのが、努力です。しかも継続する努力。そして向上するため努力。

それはルーチン以上のものでなければなりません。

昨日より今日、今日より明日と成長するための努力です。

この記事の冒頭で
「知能レベルは最高でなくても、最大限の粘り強さを発揮して努力する人は、知能レベルが最高に高くてもあまり粘り強く努力しない人より、はるかに偉大な功績を収める」という言葉を引用しました。

すべてのものが努力で達成できるわけではありません。ですが、少なくとも特定の分野においては人より秀でることはできます。

その秀でた能力、スキル、知識を活かせばよいだけです。

子どもさんがやりたいこと、すきなことを見つけたら、親御さんのやることは2つだけ。

1 その努力を最大限に応援する
2 社会のルールを教える

ルールとしては
・やってはいけないことは、なぜやってはいけないのか
・守らなければならないことは、なぜ守らなければならないのか
・自分をコントロールするための術・方法

この3つに含まれるすべてのことを伝えること、少しでも理解してもらえるようにするのが親御さんの役割といえるのではないでしょうか?

子どもさんの好きなこと、得意なことはなんでしょう? それは見つかりましたか? もし見つかっているのであれば、気の済むまでやらせてみてはいかがでしょう?

飽きたら、次にやりたいことを応援しませんか?

子どもさんの一番のファンは親御さんではないでしょうか? 無条件に応援する、そんなファンになれるのは親御さんだけではないでしょうか?

可能性の芽をつんでしまうことだけは避けたほうがよいのではないでしょうか?

簡単なことではないでしょう。うまく行かないことのほうが多いでしょう。

毎日、不安に感じるかも知れません。

でも、子どもさんも不安で不安でたまらないはずです。それをうまく表現できないだけではないでしょうか?

愛は裏切りません。

かけた愛は届いています。

受け入れてくれる、いつも応援してくれる。その思いと行動は届いています。

発達障害の子どもさんの多くは、能力を高めるための2つの要素。
好きなこと、得意なことに取り組むときには、情熱と継続して努力する才能を持っています。

親御さんが与えられるのは、仲間や支える人を見つけてあげることと、自分自身が支える人になることだけです。

最後に天才賞を受賞した「GRIT〜やり抜く力」の著者、アンジェラ・ダックワースの言葉をお伝えします。

「天才」とは「自分の全存在をかけて、たゆまぬ努力によって卓越性を究める」と定義するなら…中略…。あなたにも同じ覚悟があれば、あなたも天才なのだ。(アンジェラ・ダックワース著 GRIT)

子どもさんにそう伝えられる未来を手にできるかは、あなた次第です。

 

 

 

この記事を書いた人
出版社での編集者としての経験を活かし、あらゆる分野の情報発信をしている。リサーチ、分析、整理を得意とし、わかりやすく伝えることを信条としています。四人兄弟の長男で、兄弟のうち二人が重度の知的障害者+自閉スペクトラム症。自身もADHDの注意欠陥障害・自閉スペクトラム症のグレーゾーンとの診断を受けている。その経験から、現在は、発達支援事業にも積極的に関わっている。

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