


分かりにくい法律! 障害に関わることを分かりやすく!

目次
そんなときに子どもさんと、親御さんご自身をサポートしてくれる相談先や施設が、とても大切になってきます。
ここでは、実際にどのような施設や機関、学校などについてご紹介していきます。
発達障害の特性が見えるようになってくるのは2歳を過ぎた頃です。
1歳半検診で、お医者さんからは「様子を見ましょう」と言われることもありますが、その時点では、まだ発達障害があるとわかることはそれほど多くありません。
ただ、「もしかしたら」と感じるようでしたら、自閉スペクトラム症やADHDについて調べてみることをオススメします。
たとえ、子どもさんが発達障害でなくても、その情報や知識は子育てにもきっと役立ちます。
もうひとつ、やっておいたほうが良いことは、サポートをしてくれる専門家とつながることです。困ったことがあったら、不安なことや気になっていることを相談できる場所があると、子供との接し方も良くなります。なんといってもお母さんの精神面でもメリットが多くあります。
さて、2歳を過ぎたら特性が目につくようになるとお伝えしました。が、実はこのぐらいの時点では医療機関に相談しても、まだ診断がつかない場合が多いのも事実です。
ここで「勘違いかも」と対応を先延ばしにするのではなく、適切な対応を知っておくことをオススメします。
実際、発達障害があった場合、早いうちからの対応によって、子どもさんの成長に大きく影響があるからです。
まず最初の相談窓口になるのは、保健所や役所の福祉課になります。
そこで、児童発達支援事業所や、児童発達支援センターなどを紹介してもらうことができます。
自治体が運営している施設や、民間委託施設など様々な施設があります。
いずれも、児童福祉法に基づいた施設であれば、1ヶ月数千円程度で利用できる施設がほとんどです。
改めて整理すると、2〜3歳のころに気をつけておきたいことがこちら
1 2歳になっても話さない。歩かないという場合は医師や保険師に相談
2 発達障害の可能性があれば、できるだけ早く適した療育を始める
3 入園に向けて、子どもさんにある園を探し始める
発達障害は病気ではなく、治ることもなく治すこともできません。障害としてではなく、生まれ持った特性として向き合うことが大切です。
そして、特性に合わせた適切な対応をとっていくことが、子どもさんの成長を促し、将来の特性の軽減につながります。
子どもさんの行動を見ていると、できていないことや困ったことが目につくかも知れませんが、得意なこと、優れたところも必ず持ち合わせています。
特性によっては運動療育は非常に効果的です
そのためにはできるだけ早い段階から、子どもさんを観察し、客観的に観る親御さんの目と、専門家からの目を通して対応をしていくことが重要になってきます。
児童発達支援事業所などでサポートを受ける際に必要になるのが、「療育手帳」(自治体により呼び方は異なります)や、「精神障害者保健福祉手帳」のいずれかです。
これらを持っていると、以下のサービスを受けることができます。
・療育など福祉医療にかかる費用の補助
・公共交通機関の割引
・その他の福祉サービス
知的発達に遅れがあり、社会生活への適応が難しい人が対象となります。1〜5年の更新制で、子どもの発達状況によっては受給基準の該当から外れることもあります。
精神障害があり、長期に渡って日常生活や社会生活に制約がある人が対象。福祉制度下の支援を受けられるようにする目的で交付されます。
身体障害や精神障害がある20歳未満の児童を育てている人を対象にしています。月々一定の手当が支給され、障害の程度により1級と2級にわかれています。
児童発達支援事業所などの療育も大切ですが、保育園や幼稚園に通わせることで集団生活の体験が子どもさんに良い影響をあたえることになります。
発達障害があっても、保育園や幼稚園には入園することができますので、子供の成長のために入園をさせるのはとてもよいことです。
ですが、一方で発達障害に理解のない園に入ってしまうと、子どもさんにとっては快適な場ではなく、通うことが苦痛の場になってしまうこともあります。
この時期に嫌な思いを抱いてしまうと、劣等感や自己嫌悪感の強い子になってしまい、本来、子どもさんがもっている可能性の芽をつんでしまうことにもなりかねません。
そういう意味でも「園選び」には気を使って、子どもさんにあった園に通わせることが大切です。
園を選ぶときにやっていただきたいことは、子どもさんと一緒に見学にいくこと。
そして、そのときに普段の園の様子も見せてもらいましょう。また園長先生に、「発達障害の可能性(あるいは診断)があること」や、「子どもさんができること・できないこと・困った行動」などを具体的に話してみることをオススメします。
このときに園ではどのような対応が可能なのかを聞いてみると良いでしょう。
園によっては、発達障害の子どもさん一人に対して、ひとり多く先生をつけてくれる加配制度や、巡回の先生が定期的に来てくれる場合もあります。
また、発達障害の子どもさんの受け入れ枠を設けて、支援を実施している園もあります。
適切な援助を受けながら、友だちと関わって社会性を少しでも養う場があるかどうかが、子どもさんにとっては望ましい園といえるでしょう。
もし、特別支援体制がほとんどない園に入園する場合は、親が園内で補助することが可能か確認しておきましょう。
「小さいときにじっくりと療育を受けさせたい」と望むのであれば、年中の年齢までは児童発達支援事業所などの療育施設に通い、年長になってから幼稚園を選ぶというケースもあります。
保育園は、親が働いていて、日中世話ができる人がいない場合に、保護者にかわって子どもさんの保育をする児童福祉施設です。
お母さんが働いていることが条件になることが一般的です。園によっては「障害児枠」を設けて、発達障害の子どもさんを優先的に入園させている園もあります。
幼稚園は、原則として3歳以上の子どもさんを受け入れている幼児教育施設です。園によっては障害のある子や育てにくさのある子を積極的に受け入れている園もあります。
教育方針は幼稚園によって異なる場合が多いので、子どもさんに適した園を選ぶことが重要になってきます。
施設によって通所日数は異なります。週2〜3日など定期的に通って療育を受けながら、幼稚園の入園時期を探るという方法もあります。対象となるのは知的発達に遅れがある子どもさん。利用できる条件などを調べておくと良いでしょう。
発達障害の症状を改善する運動療育〜発達障害の症状が運動で改善! 運動療育の効果とは
知的な障害がある場合や、重度の発達障害がある子どもさんのためには、「特別支援学校」があります。
ですが、発達障害があっても知的障害が軽度、あるいは知的障害がない場合には、基本的には通常の小学校へ入学することになります。
発達障害の特性がある場合、「通常学級」を選ぶか、学校内に「特別支援学級」が設けられているのであれば、いずれを選ぶかは、少し難しい判断になります。
自治体では入学の前年の年長の子どもさんを対象に、就学相談を行っています。
それぞれの学校の特性などの情報を聞き、子どもさんの状況を伝えて意見を聞いてみると良いでしょう。
選択肢となる学校を、見学することも重要なステップになります。
次年度に入学予定の子どもさんを対象に、身長体重測定・発達検査・内科・歯科・耳鼻科・眼科の検診を行う制度です。
その結果によって、自治体の就学指導委員会が、進学先の学校の提案をしてくれることがあります。ただ、これには従わなければならないわけではなく。最終決定は親御さんに委ねられています。
子どもさんの特性を考えたときに、通常学級か支援学級のどちらを選ぶかは迷うと思います。
選ぶときの基準はぜひ、子どもさん視点で
・楽しく通えるか
・問題なく学ぶことができるか
・学習を深めることできるか
といった観点から選ぶことをオススメします。
通常学級に行ったほうがよい。行ければ良いと考えるかも知れません。ですが、発達障害という特性を持つ子にとって、通常学級が常に最良とは限らないのです。
クラスメートや、保護者の方々みんなが、子どもさんの特性を理解してくれるとは限らないのです。
また、通常学級では場合によっては、「問題のない子ども」とみなされることで、本来、受けられる支援をうけられないこともあります。
そういう意味でも、できるだけ早い段階で、選択肢となる学校を訪問し、支援態勢や教育方針などを確認しましょう。そのときに不安なことは率直に相談しておくことが大切です。
通常学級を選ぶのであれば、支援がない環境下で、子どもさんが嫌な思いをしないで過ごせるかが、大切な要素になってきます。
小学校・中学校に設置されている心身に障害を持つ子どもさんのための少人数の学級。
学校によっては特別支援学級がない場合や、身体障害児のみが対象の学校もあります。
少人数指導で、個々の障害や特性に合わせて指導を受けられるという点では、特別支援学校と同じですが、学習や行事、給食などに通常学級の子どもたちと交流する機会があります。
一方で、担当の先生は特別支援専門でなくてもよいので、経験に個人差があります。また学校によっては校内で1クラスという場合もあり、学年別の授業が成立しないこともあります。
心身に障害を持つ子どもたちのための専門の学校。以前は養護学校と呼ばれていました。
1クラス数人という制限があり、先生の目が届きやすいのが特徴です。
特別支援教育に特化しているため、校舎にも子どもさんが過ごしやすい配慮がなされています。
働いている先生たちは、通常の教員免許のほかに特別支援学校教員の免許が原則必要なため、発達障害に関しても専門の知識をもっています。
また、学校内の子どもさんへの教育だけでなく、近隣の学校への特別支援教育への助言や支援も行っています。
デメリットとしては、障害のない子どもさんとの触れあいが減るため、社会的な刺激を受ける機会が少なることがあげられます。
自治体によってまだまだ差があるものの、「特別支援教育」は充実させる方向に進んでいます。
現在、公立小学校には、「特別支援教育コーディネーター」が置かれるようになっています。一定の研修を受けた先生が担当していて、保護者からの相談を受けたり、福祉機関との連携を図ったりしています。
特性がある子どもさんを、通常学級に入れる場合は、遅くとも2月ころまでには、学校と相談しましょう。そのときに、以下のリストを持参すると相談がスムーズにいきます。
・ほかの子どもさんへの関心の向け方はどうか
・じっと座って話をどの程度聞けるか
・走る・跳ぶなどの運動能力はどうか
・トイレや食事、着替えなどがどの程度できるか
・文字・数字などに関する能力はどうか
・できること・得意なことは何か
・できないこと・苦手なことは何か
学校の教育方針や、人的要因などで補佐の先生を配置できるかどうか、パニックになって時の対象方法などを質問して確認しておくと良いでしょう。
通常学級に籍を置きながら、発達障害の子どもさんのための通級指導教室というものがあります。
少人数の指導を通して、社会性やコミュケーションの方法を学ぶ場として活用できます。
個別指導の時間もあり、子どもさんの弱点に応じて学習指導をしてもらうこともできます。
ただ、デメリットもあり、自分の学校意外の教室に通うケースもあるため、親の送迎が必要になることが多いようです。また、週1回なので、必要な学びを習得するのが難しいという面もあります。
現在、自治体によっては、教室を担当する先生が巡回することで、すべての学校で通級指導教室を作る動きも出ています。これが実現すると、親の送迎は不要になります。
特性を持っていても小学校で通常学級を選択するケースは多いと思います。中学進学時には小学校同様、通常学級、特別支援学級、特別支援学校という選択をし直すことができます。
障害のない子供さんでも中学校になると、学習内容が複雑になり、授業についていけなくなる事例が出てきます。
特性がある子どもさんの場合、その傾向は顕著に出る場合も多く、授業についていけなくなることがこれまで以上に出てきます。
実際、授業についていけなくなると学校が苦痛な時間、場所になってしまうこともあります。
小学校で通常学級だったとしても、もう一度進路を見直す機会になるのが中学進学のタイミングです。
また、ぜひ子どもさんと一緒に見学に行って、子どもさん自身の目で「自分に合うか」も確認して、親子でどうするか考えることも大事です。
小学校と中学校との大きな違いは、教科ごとに先生が変わることがあげられます。子どもさんの特性に合わせた授業自体が難しくなることから、苦手な科目がさらに苦手になることもあるので、通わせる学校や学級を選ぶ際には考慮すると良いでしょう。
高校になると、特別支援学級がなくなります。つまり通常学級しかなくなるわけです。
高校進学の場合の選択肢としては以下のようなものがあります
●特別支援学校高等部・高等特別支援学校
専門知識を持つ先生が指導するため、支援体制は整っています。職業訓練のカリキュラムなども充実しているため、卒業時には就職につながるスキルを身につけることも可能です。
●全日制高校
学力が十分にあり、大学進学を目指しているなら普通科の高校が良いでしょう。一方で支援体制は期待できないため、親の支援は必須になってきます。場合によっては留年や退学の可能性も考慮しておく必要もあるのが現実です。子どもさんが得意なこと、好きなことがあるのであれば、興味に応じて、工業系、農業系、芸術系などの選択肢も考えてみるのも良いでしょう。
●定時制高校
通学する時間帯を選べるので、自分のペースで学ぶことができるのが大きなメリットです。コースによっては通学年数が4年になることもあります。
●通信制高校
基本学習は自宅。週1〜2回の登校日があります。他の生徒との交流はほとんどないので、子どもさんの特性よっては向かない場合もあります。
当然、学校を実際に見て選ぶことは必須といえるでしょう。そのためには親御さんが子どもさんの特性を踏まえて、候補となる選択肢を決め、子どもさんと話し合って決めることが大切になってきます。
その上で、子どもさんが「ここに通いたい!」と思う学校を選ぶのが良いでしょう。
ですが、最終的に退学という結果になることも考えておくことも必要です。そうなった場合でも子どもさんが自信を大きく失うことのないような支援も予め考えておくことをオススメします。
発達障害があっても、学習能力が高い子どもさんはたくさんいます。子どもさんが持っている能力の凸凹を考えて、進路を一緒に決めること。それが学校に入ったあと「自分はダメだ」と前向きな気持ちを持たないようにすることにつながります。
大学はレベルが高くなるだけでなく、創造性やイメージする力が求められる科目が増えてきます。そうなると、「授業が理解できない」「欠席が増える」といった問題がこれまでよりも出てくることがあります。
卒業するために、ぜひ、大学に設置されている、発達支援障害者支援の窓口を活用しましょう。
大学で得るものは、その後の子どもさんの人生に大きな影響を与えます。好きな分野があれば、その道の研究者という道もあります。
少し脇道にそれますが、「ドラゴン桜」というドラマでは、東大を目指す学生の中に、発達障害をもつ生徒が出てきます。
これも時代を反映してのことでしょうが、その中で自閉スペクトラム症の生徒は、卓越した記憶力を持っていて、自分の好きなことは何でも覚えてしまう能力を持っています。
結果、非常に短い期間で成績が飛躍的に上がる事例が描かれていました。演出というのもあり、極端な事例とはいえるかも知れませんが、その生徒に「研究職」という選択を主演の阿部寛こと桜木は提案します。
もし、子どもさんが得意なことに関して能力が高ければ、子どもさんとよく話すことで自分の人生の将来に希望のあるビジョンを提示することができるかも知れません。
そのビジョンが子どもさんの入試に対するモチベーションを作り、諦めずに勉強することで良い結果につながる可能性を高くできるでしょう。
発達障害は年齢とともに症状は軽減するといわれています。ですが、放っておいて良くなるわけではありません。
早い段階から、親御さんと公的機関、民間機関の専門家、学校の先生達と連携して支援をしていくことで可能になります。
子どもさんの持っている「最高」を引き出すのも、そういった連携あってこそ。「生きづらさ」をなるべく感じず、また感じたとしても社会と折り合いをつけながら生活する自立力を養うためにも、周囲の人々の手を惜しまず借りてほしいと思います。
迷惑をかけていているという意識は捨て、家族の幸せのために使える手段は全て使う、できることはできるだけやるようにする。そういう気持ち、想いが子どもさんにもきっと伝わります。
子どもさんは、気づいていないようできっと気づいています。お母さんが、お父さんがかけた愛情は子どもさんのよりよい未来を作っていくことでしょう。