


女の子の発達障害では少し特別な対応が必要なことも

不登校は発達障害の特性が要因かもしれません

子どもさんが4歳頃になっても、自律(社会に適切な行動をとること)が育っていない場合、ADHD(注意欠如・多動性障害)の一側面であるといわれています。
ADHDに限らず、発達障害はなるべく早い時期に、親が関わり方を変え、発達支援事業者などの専門家に、いわゆる「療育」に関わって行くほうが良いと言われています。
アメリカの統計では、なんらかの療育や治療を行わない場合、その障害は80%の子どもに思春期まで症状が残存するといわれています。
より早い段階で対応をすることで、保育園・幼稚園、学校で子どもさんが生きづらさをあまり感じずに過ごすことができるようになります。
ADHDの診断基準の参考例はこちらから〜発達障害の種類と発達障害診断基準ー障害を早く知ることの大切さ
では、ADHDと診断された場合の具体的な対応方法についてご紹介していきます。
目次
実際にはADHDの子どもさんへの対応は、年齢や場面、状況で変わってきますが、まずは基本的な対応をご紹介します。
ADHDの子どもさんと接していると、注意したり叱ったりする場面が多くなりがちです。
ですが、注意されたり、叱ったりする頻度が多いと、子どもさんが自信を失ってしまい成長を阻害することになる場合があります。
そうならないためには、まず「褒める」を意識してください。
できなかったことができるようになったときには、とにかく「褒める」。
これを意識するだけで、子どもさんの行動が変わってくるきっかけになります。
また、結果ではなく、プロセスを見て褒めましょう。
褒めることは、普通の子どもさんでも嬉しいことですが、ADHDの子どもさんにとっては「褒められる」ことは重要な意味を持ちます。
ADHDの子どもさんは「規則だから守ろう」とか、「自分で勉強を頑張ろう」というように毎日努力するのが得意ではありません。
その結果、叱られることが多くなりがちで、褒められる機会自体が決して多くありません。
ところが、ADHDの子どもさんは自己顕示欲が強い傾向があります。ですから、「褒められた」「自分はできる」という経験自体が、親御さんが思っている以上にやる気に繋がります。
この話を親御さんにすると、「うちの子どもはほめられることが本当にないんです」という親御さんが少なくありません。
ですが、そう思うのは結果で見ているからです。
「忘れ物をしなかった」、「宿題をきちんと終わらせた」といった結果だけを期待していると、なかなか褒めるポイントを見つけられません。
「こうして欲しいと感じられる行動を少しでもしたら褒めよう」と考えて接すると、褒めるタイミングは今まで以上に見つかります。
褒めてやる気にさせるためには、ちょっとしたコツがあります。
それは「些細なできた」を褒めること。スモールステップで褒めることです。
例えば、着替えのシチュエーションであれば
・着替えをするためにタンスの前に行けたこと
・服を選べたこと なども褒めるようにしましょう。
そうすることで、「早くしなさい」と責めることなく着替えを促すことができます。
勉強のときであれば、まずは「机に座れた」ことも褒めましょう。親に言われて、いやいや座ったとしても、机に向ったのですから褒めてあげてください。
そして、さらに5分でも座れたら、「頑張ってるね!」と一声。
こういった小さなことを、躊躇せず、惜しまず褒めましょう。
褒めるときに捨てて欲しい思いがいくつかあります。
それは
「小学生なんだからできて当たり前」
「こんなことで褒めたら調子に乗る」といった気持ちです。
できて当たり前のことができずに苦労している子どもさんが、当たり前のことを少しでも「できた」! と捉えてください。幼い子どもさんに声をかけるように褒める言葉をかけてあげてください。
それが、子どもさんの「やる気」につながります。
もちろん、ほかにも子どもさんの得意なこと、持っている良いところを褒めることも積極的に!
とはいえ、褒め言葉はなかなか咄嗟には出づらいもの。
そんなときに役立ててほしいのは、普段から観察をして気づいた良いところや、先生や祖父母から聞いた「子どもさんの良いところ」をメモしておきましょう。
そうしたら、そのメモをリストにして、子どもさんにも見せてください。
〇〇ちゃんのいいところリストを、ぜひ子どもさんと一緒に読んでみてください。
そして、伝えてください。
「〇〇ちゃんの素敵なところ、こんなにたくさん見つけたよ」と…。
ぜひ、親御さんにやってほしいことがあります。
それは「あなたのことが大好きなんだよ」。「大事に思っているよ」と伝えてください。
気持ちは言葉にしないとわからないもの。言葉に出して、何度も何度も伝えましょう。
そして、たくさんたくさん抱きしめてあげてください。スキンシップは言葉以上に気持ちを伝えられます。惜しみなく、愛を伝えてください。
年齢が思春期になるころには、自分が人と比べてできないことが多いと感じることが多くなってきます。
それが自信を失うことにつながって、「生きづらさ」を強く感じてしまいます。
それを避けるには、小さい頃から「自分にもできる」という自信を育てることが大切です。
できるだけ多く、「できる」を経験して、できれば自分の得意なことを見つけられたら、子どもさんの「できる」の捉え方が変わって、「生きづらさ」を強く感じずに生活することができるようになります。
ADHDの子どもさんは、一度に複数の指示を理解して、行動することが苦手な傾向があります。
「手を洗ったあとはうがいしてね」ではなく
「手を洗ってね」と指示して終わったあとに、「次はうがいね」と伝えるようにしましょう。
命令口調だと、叱られていると感じてしまうこともあるので、丁寧な口調で指示をひとつずつ出すように心がけると、混乱せずに行動を促すことができます。
大きな声で話すと、ADHDの子どもさんは「叱られている」と思ってビクビクしてしまうことがあります。
話すときはなるべく近くに行って、穏やかな声で話すようにしましょう。
ADHDの子どもさんの場合、どうしても「できていないこと」や欠点ばかりに目が行きがちになってしまいます。
その分、注意する回数が増える傾向になってしまいますが、その注意回数を減らすように意識してみてください。
なにかに夢中になっていると、気づかないこともよくあります。
まず、子どもさんの意識を向かせてから、注意するように心がけましょう。
やってほしいこと。忘れないでほしいことは、目に見える形で伝えるようにしましょう。
・1日のスケジュール表
・忘れ物リスト
などのように表にしたり、イラストにして目に見えるところに貼っておくことをオススメします。
1日の流れをスケジュールにして、「すべきこと」をはっきりと見えるようにすると良いでしょう。
スケジュール表はできるだけ具体的な言葉で、簡潔に。大きな紙に書いて、目立つところに貼ります。
そこに見やすく、具体的な子どもさんがやることを書きます。
この予定を、子どもさんに前日夜にチェックさせるようにしましょう。
それとは別に、一日にやることをホワイトボードに書くこともオススメします。
その日にやらなければならないことをわかりやすく書きます。また、いちばん大事なことから順番に書きましょう。
そうすることで、何をすればよいのかの優先順位が理解しやすくなります。それを、上から順番に予定をこなして、終わったら消すように教えます。
これで、子どもさん自身が「今日やるべきこと」を把握して、行えるようにしていくトレーニングになります。
ADHDの子どもさんはその時その時で行き当たりばったりで考える傾向があります。スケジュールの全体から、「今やるべきこと」を選んで行う練習をさせることで、ルールやスケジュールを守りながら行動することができるようになってきます。
ほかの子どもさんと比べて「できない」と評価しないようにしましょう。また、ほかの子どもさんの非難するような話もしないこと。
あなたの言葉をそのまま受け取ってしまう傾向があるので、その子どもさんにあった時に心無い言葉を発してしまうかも知れません。
気分や感情、その場の雰囲気や状況に左右されてミスに対する注意の仕方が変わるようなことは避けましょう。
前と違うことを「言われた」と感じてしまうと、子どもさんは混乱してしまいます。
つねに一貫した声かけや対応をするようにしましょう。
長い目で見たときに、体罰はよいしつけではないと心得ましょう。
確かに、短期で見れば効果がでることはありますが、いつも叩かれている子どもさんは、ほかの子どもさんを叩く子になってしまいます。
家事などを積極的に手伝ってもらいましょう。
うまくできたときは「褒める」言葉をかけてください。発達障害の子どもさんにとって、褒められる経験はとても大切なものです。
また、うまくできなかったときは、改善するためのアドバイスをしてください。このアドバイスが良いコミュニケーションになります。
ADHDの子どもさんには、主に「不注意」、「多動性」、「衝動性」の3つの特性があります。物をなくしたり、忘れ物は頻繁にありますし、食事中にもじっとしていられなかったり、ひとつの事に集中したりできません。
何度注意しても、また同じことを繰り返します。ですので、親視点から見ると「言うことを聞いてくれない」とイライラすることが多いでしょう。そのため、ついつい大声を出してしまうこともあるかも知れません。
子どもさん視点から見ると、「怒られている」「叱られている」ことは理解できています。そうなると実は「また叱られるかも知れない」と不安を抱えていることも多いのです。
子どもさんは悪ぎがあって、そのような行動をとっているわけではありません。ですので「困った行動」が抑えきれないんだと理解して上げてほしいと思います。
叱ったり、注意したりする回数を意識して減らすだけで、子どもさんは不安を感じずに安心して過ごすことができます。それが心の安定を生み、良い方向へとつながります。
また、ADHDの子どもさんは集中力が高い場合がとても多く、なにかに夢中になっていると、他の人の声が聞こえないことがよくあります。
同じことを注意していて、なかなか治らない場合は、実は聞こえていなかったからも知れません。
そこで、オススメの方法は、子どもさんに近寄って、注目させてから注意するやり方です。
その際には、決して大声では話さないこと。また命令口調も避けましょう。
そのような叱り方をすると、劣等感を強く抱いたり、反抗的な態度をとるケースが非常に多く見受けられます。
「今すぐゲームをやめなさい!」ではなく、「5時半になったらご飯だからゲームをやめようね」。といった伝え方をしてみてください。より子どもさんが理解してくれやすくなります。
褒めること
わかるように伝える
穏やかに話す
否定的な言葉を使わない
他人と比較しない
こういったことの積み重ねが、子どもさんの自信を作り上げます。心の安定が行動の安定につながることも意識しましょう。
できない子 ではなく、「できるのに時間がかかる子」「できるようになる子」という意識で接することで、子どもさんの持っている可能性を広げる。確かに忍耐しなければならない場面は多いのは事実です。
ですが、親であるあなたの関わりや、保育園、幼稚園、学校、通所施設などの方々の関わりが、お子さんの未来を変えます。
アメリカの統計では、適切は対応や関わりを受けなかったお子さんの80%が思春期になっても問題行動が改善しなかったというデータがあります。
一方、良い関わりや対応(場合によっては投薬などの医学的治療)を受けた子どもさんは、歳を重ねるごとに問題行動が軽減していくことがわかっています。自分の責任だと親だけで背負い込まずに、医療機関や支援施設に相談してみてください。
親御さんの精神的負担も軽減でき、子どもさんも「生きづらさ」を少しずつ感じなくて住むような成長を手に入れることができます。
ぜひ、疑問を感じたら、専門家の力を借りることをオススメいたします。