


分かりにくい法律! 障害に関わることを分かりやすく!

目次
保育園や幼稚園をはじめ認定こども園は、お子さんにとって初めて集団生活をおくる場所です。発達が気になるお子さんを持つ親御さんの中には、不安に感じることも多いと思います。
保育園、幼稚園、認定こども園には、発達が気になるお子さんのサポート制度として加配制度があります。今回は、無料で手厚いサポートが受けられる加配制度についてわかりやすく説明をしていきますので、参考にしてください。
加配制度とは、障がい児に他のお子さんと一緒に集団生活ができるように先生が支援をする制度のことで、お子さんの特性に合わせて支援をする制度になります。
保育園や認定こども園などの施設では、子どもの人数に対する先生の必要人数の基準を設けていることが多くなっています。障がい児保育をおこなうときは、先生を必要に応じて追加配置します。
厚生労働省で管理をしている保育園や認定こども園と文部科学省が管理している幼稚園では、加配制度の取り入れ状況は異なりますので、順をおって説明をしていきます。
国が主に実施している制度は、園に対する補助金です。保育園や認定こども園に対する補助金制度は「療育支援加算」と「障害児保育加算」の2種類あります。
療育支援加算と障害児保育加算の負担割合は、国が50%・都道府県25%・市町村25%です。原則、保護者が負担する制度ではありません。
療育支援加算は、障がい児保育のために加配保育士等を雇うときにかかる費用を国や自治体が負担する制度のことです。クラス担当を持たない主任保育士が現場リーダーとして、その役割に専念できるようにすることを目的としています。
加配保育士の役割は、主に障がい児への個別対応です。障がい児の支援担当者を設けることで、主任保育士は園長のサポートをはじめ現場保育士の指導や保護者への対応に専念できるようになります。
障がい児を受け入れる特定地域型保育事業所を対象とした加算制度です。障がい児2人につき保育士を1人採用するために、必要な費用を国や自治体が負担します。
特定地域型保育事業とは、特に保育ニーズの高い0歳~2歳児を対象とした小規模の事業所です。定員が5人以下の「家庭的保育事業」、定員が6人以上19人以下の「小規模保育事業」、従業員の子どもを保育するために設ける「事業所内保育事業」が対象になります。
発達に課題を抱えたお子さんの特徴は、一人ひとり異なるものです。加配の先生はお子さんと信頼関係を築きながら、お子さんの苦手な部分の手助けをします。
保育園などに発達障がい児支援の専門家が巡回する自治体も多くあります。専門家の助言をもとにお子さんに合った支援をおこなうのが目的です。
発達が気になるお子さんは、感覚過敏や感覚鈍麻があることが多いので必要な動作を苦手とすることが少なくありません。基本的に見て学ぶことが苦手な傾向もあります。
味覚や臭覚が敏感なお子さんやこだわりが強いお子さんの中には、食事そのものを苦痛に感じてしまうこともあります。一方で、ひとつのことに集中できないお子さんや切り替えが苦手なお子さんも少なくありません。
食事・着替え・トイレなど日常生活の中でお子さんだけでは難しい部分は、加配の先生などによるサポートが必要です。お子さん個人に適した方法で、自立支援を促していきます。
例えば、物を置く場所を覚えることが苦手なお子さんに対して、持ち物と置く場所に同じマークをつけるなどの視覚的にわかりやすくすることが多いです。
絵や写真を利用することもありますし、実際に本人に合わせた行動をして日常生活上必要なことを教えていくこともひとつの方法になっています。
加配の先生は、お子さんが物事を上手くできたときにその都度ほめます。お子さんをほめる機会を増やすことで、成功した喜びや体験をもとにお子さんの自立を即します。
発達が気になるお子さんは、他の人と関わることや集団行動を苦手にする傾向があります。本人に悪気はなくても、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。
友達と遊ぶときのルールや会話の仕方は、その都度教えていくことが重要です。加配の先生が丁寧に教えることで、少しずつ相手と関わるうえで必要な力を身につけることができます。
人と関わりことに興味を持っていないお子さんには、加配の先生と1対1で遊ぶことを最初の目標にするのが基本です。加配の先生から「遊ぼう」と声をかけて、実践を通じてお子さんに人との関わり方を教えていきます。
次に何をして良いかわからずに集団になじめないお子さんには、事前にこれからおこなうことの説明をするケースもあります。
お子さんが理解できないことは、丁寧に説明をしてまわりのお子さんと行動を共にすることができるように支援をしていきます。
子育て中の保護者は、不安や悩みを感じることもあります。情報社会であっても発達障がいの対応は、個人差もあるので簡単に判断をするのは難しいのが本音です。
加配の先生がいる場合は、担任の先生だけでなく加配の先生に不安や悩みを相談することができます。加配の先生から客観的なアドバイスを得られることで、悩みや不安の解消だけでなく安心感も得られます。
連絡帳を通じてお子さんの様子を保護者に伝えてくれる加配の先生も多いようですが、送迎や電話応対のときに園内でのお子さんの様子を教えてくれることもあります。
お子さんの支援は、家庭と園の連携が重要です。日々の様子を情報共有することが、お子さんの特性に合わせた良い支援方法を見つけるポイントになります。
加配制度の実施主体は、都道府県や市町村などの自治体です。ここでは、加配制度の基準や特徴を説明していきます。
加配の基準を決めているのは、都道府県や市町村といった自治体です。地域内にあるすべての園で障がい児を受け入れる自治体もあれば、園の方針にゆだねている自治体もあります。
多くの自治体で見られる加配の基準は、障害者手帳や療育手帳を持っていることや医師の診断を受けていることです。この他に「障害の程度が軽度から中程度であること」「集団生活が可能であること」など独自の基準を設けている自治体もあります。
大規模な自治体は加配の制度を明確に定めていることが多くなっていますが、個別に対応をする自治体が多いのが現状です。
保育園や認定こども園で加配を受けるためには、保護者からの申請が必要です。私立幼稚園や幼保連携型認定こども園を対象とする私立幼稚園等特別支援教育費補助金は、主に施設側が申請することになっています。
どちらの場合も身体障害者手帳や療育手帳が必要になるのが基本です。医師の診断を受ける必要性もあるので、余裕を持って申請することをオススメします。
加配の基準は、お子さんに対するサポートがどの程度必要かを専門家が判断するのが一般的です。障がい児1人~4人に対して加配の先生が1人つきます。
加配の先生がどの程度つくかは、自治体や園の方針によって異なります。園によって加配の先生がクラス全体のサポートにはいることもあるので、必ずしもマンツーマンになるとは限りません。
主に保育園や認定こども園に支給される療育支援加算や障害児保育加算は、加配の先生を追加する際にかかる費用を負担する制度です。
一方、私立の幼稚園や幼保連携型認定こども園に対して支給される私立幼稚園等特別支援教育費補助金は、施設側で使いみちを決定します。
既に障がい児が所属している園に対して支給される私立幼稚園等特別支援教育費補助金の使いみちは、加配の先生の採用や雇用にかかる費用とは決まっていません。
手すりの設置や床の修繕、特別支援教育研修会への参加費用や障害児教育用図書の購入費用なども用途としてあげられます。
加配制度の申請方法は、自治体によって異なります。必要な書類や手続きの流れも自治体によって異なるので、事前に確認することをオススメします。
例をあげると埼玉県の児童育成支援制度では、保育施設利用の申請をした後に第一希望の施設で面接を受けます。その後、半日程度の体験保育をおこない最終的に通う保育園等が決まります。
小学校の進級先として考えられるのは、特別支援学校・特別支援学級・通常学級の3種類です。通常学級に在籍しながら、個別の指導を受けられる通級指導教室や特別支援学級を利用するお子さんもいます。
自治体や学校で必要と認めた場合は、通常学級で個別の支援を受けることも可能です。補助教員や民間ボランティアの方などが、加配としてお子さんのサポートをします。
保護者が働いている場合は、お子さんが放課後過ごす場所を考えることも大切です。主に障がい児を対象とした放課後等デイサービスと放課後の家庭保育が難しい家庭を対象とした放課後児童クラブ等があります。
公立の小学校は、放課後児童クラブを併設しているところも多いですが、加配制度の有無や基準は自治体によって異なるので注意が必要です。
発達が気になるお子さんが苦手な部分をフォローするのは、保護者だけでは限界があります。保護者が働いていると特に難しくなるはずです。
加配制度は、お子さんの園内生活をサポートする制度です。食事や散歩などの日常生活や他のお子さんとの遊びや運動など、保護者だけでは対応が難しい部分のサポートも小さい頃から受けることができます。
発達が気になるお子さんへの支援は、できるだけ早期に介入することが重要です。小さな頃から他人との関わり方や社会のルールを学ぶことができます。
お子さんの特性によって、小学生になってから忘れ物や授業中に席を立ってしまうといった問題行動が目立つこともあります。小さい頃から場面に合わせた行動を学ぶことで問題行動の軽減につながる可能性も期待できます。
小さい頃から加配の先生によるサポートを受けることで、多くの成功体験が経験できます。自信は自己肯定感も育つだけでなく、うつ病や依存症などの予防にもつながります。
二次障がいは、保護者だけでなくお子さんにとって辛いことです。早期の段階でお子さんの特性に合わせた支援を受けることが重要になります。
子育てをするときは、多くの人の協力や手助けが必要です。発達が気になる場合は、特に周囲の協力が必要になります。
保育園をはじめ認定こども園や幼稚園には、加配の先生がお子さんの特性に合わせて支援する制度があります。ただし、利用の基準や申請方法は、自治体や園によって異なります。
子育ては、家庭内だけで不安を抱え込まないことが大切です。解らないことや不安なことは、自治体や園などに相談することをオススメします。